きみが春なら

仕事を終え店を出た時には霧雨程度だった雨が、だんだん本降りになってきた。

ケビーに傘を借りれば良かった。後悔しつつ早足で歩く。
ポケットから家の鍵を取り出し、俯いていた顔を上げた時。

「ん?」

家のドアノブに白い紙袋が引っかけてあるのが目に入った。ご丁寧に袋が濡れないよう透明なビニール傘が差し掛けられている。
周りを見渡すも、人影は無い。
そうっと近付き、中を覗いた。

「……!」

中身を認識した瞬間。驚くより前に駆け出していた。