きみが春なら

靴を脱がせベッドに下ろす。上半身を支えたまま鎖骨のラインを見つめた。
今日の為に仕立てられたオフショルダーのドレスは、幼顔の妻のイメージを妖艶なものに覆す。

「やはり。女は着る物で化けるな」
独りごち、ティアラを外してやった時。

「く……るし、」
ハルが微かに顔を歪めた。手でウエストの辺りをまさぐっている。

「これ。脱ぐ……」

ネックレスを外し背中のファスナーをゆっくり下ろしてやると。よほど窮屈だったのか、自分でドレスをめくり出した。
「── おい」
普段の様子からは考えられない行動に唖然とする。
「貴様。相当酔ってるな」

締め付ける物が無くなった胸が下着越しにふるん、と主張する。
あられもない姿のまま、ハルはまたうとうとし始めている。

「……掴まってろ」

片手で抱き、胴のところに留まっていたドレスから一気に体を抜いてやる。薄いワンピース一枚になったハルがうっすら目を開けた。

二人でベッドに沈みながら
同時に理性も解けていくのを感じた。

「この状況で見逃してやれるほど。俺は枯れてないぞ」
「……」
「いいんだな?」

ぽやんと頼りない視線を寄越し。
ハルは、俺の首に腕をまわしてきた。


ジャケットを脱ぎ捨てネクタイを緩める。ワイン味の唇を貪るうちにこちらまで酔いそうだ。 

「お前が悪いぞ。無防備にも程がある」

息継ぎしながらそう言った。
触れ合わせた肌の柔らかな感触にぞくぞくする。膨らむ欲望に任せ、ワンピースの裾から手を入れ足を撫でる。

鎖骨に口付けるとハルの体がぴくん、と跳ねる。
鼻にかかった声に一層煽られ、見つめ合いながら自分のシャツのボタンを全て外した。
首筋に顔を埋め。肩紐を下ろしたところで。

「ん?」

背中にまわっていた手が
ぱたん、とベッドに落ちた。