きみが春なら

披露宴直前。そろそろ迎えに行こうとしていたところで、廊下を歩く彼女と会った。

「あ。お疲れさま」
「……こっちのセリフだよ」

周りの目が無いか確認した後、近くまで歩み寄る。
パーティー用にすっかり身支度を整えた彼女は、髪を編み上げ白いドレスを着ていた。
肩が剥き出しのデザインだ。露出した肌にまぶしてあるパウダーが照明を受けてきらきら光る。
そういうものなのだとわかっていても、何だか目のやり場に困る。

「疲れてるだろ?毎日何かしらの式典があって」
「緊張しっぱなし。あんまりよく眠れない」
「だよな」

困ったように微笑む彼女の顔が、心なしか青白い気がした。
ティアラの位置を少々直してやる。

「この披露宴が終われば一段落だから。あと一日だけ頑張れ」
「うん。」

王子の付き人として数え切れない程社交の場に参加し、その度に着飾った女性たちを目にしてきたが。
どんな上流階級の娘にも負けないほど
── ハルは、とびきり綺麗だった。