きみが春なら

城に戻った後、ハル様をお部屋までお送りしている最中に女王陛下と出くわした。
「パレードは終わったようね?」
「ええ」
陛下は、返事をした俺ではなく隣の彼女をジロリと睨む。気付いたハル様が小さく会釈するも、あからさまに無視して去っていった。
心の中でため息を吐く。


二日前、彼女が王子の妃として初めてやってきた日。
女王陛下は彼女の姿を見た途端、信じ難いくらい口汚く罵った。国王陛下が思わずたしなめた程だ。

異人である事。優れた家柄の娘では無い事。
全てが自分の理想と程遠い。到底賛成できない、結婚式には出席しないと言い放ち、そして実際に今日の式に出なかった。

付き人としてその場に居合わせた俺ですら彼女を気の毒に思ったが、女王様の性格に慣れきったロレンツォ王子は奥方を庇うでもなく平然としている。

……今、何を思ってるんだろう。

細い背中を見つめ、ぼんやり考える事しか出来なかった。