きみが春なら

「……っ、」


世界が
色を失っていく。


二人が乗り込んだ馬車がゆっくり動き出すと、集まった国民もまたそれを追って付いていく。
喜びの色に染まる光景にひとり背を向け、林の奥。深く深くへと分け入った。
どさり、と身を横たえた瞬間。

『私ね。あなたが思ってるより、あなたの事が好きよ』
『これから先も、ずっと。』

頭の中で
君の声がして。


「ハル……!」


やっと涙が出た。
濃い草の匂いに包まれながら、ひたすら泣いた。