きみが春なら

── 死ぬかもしれない、とぼんやり思う。

空腹も。痛みも。寒さも。もう何も感じないところまできていた。
数日閉じこめられているこの場所には窓が無く、四六時中仄暗い。

「……」

どれくらい同じ姿勢でいるんだろう。
気力も体力も限界で、床に横たわったまま。


ハル。
ハルが心配してる。きっと泣いてる。
家に戻らなきゃ。
でも、どうやって?

── きぃ、っと扉が開く音がする。
誰かの足音が近付いてくるが、目を開く事さえ出来なかった。


「イーヴァン!」


飛びそうな意識の淵で。突然、君の声が聞こえた。