きみが春なら

「顔はよく見えなかったけど、ありゃ異人だろ」
「えー!?異人が王族に入っていいの?」
「信じられない。王子様、どこで引っかけられたのかしら」
「驚くのはまだ早いぞ。いきなり王子の前で片膝付いて。その女、何て言ったと思う?」

男の息継ぎの音が聞こえるほど、店内は静まりかえっている。

「辞退させてくれって。言ったんだ」

その場がどよめいた。

「何で!?頭おかしいんじゃない?」
「本当に、何でそんなのが選ばれたのよ?」
「自分は混血だし、この国の産まれじゃない。しかも修道院育ちらしい。もっと王子様に相応しい人がいるはずです、って。確かそんなような事言って」


目の前が暗くなる。
冷や汗が背中を伝う。


── おい、
まさか。

まさか、まさか
まさか。