きみが春なら

王子様が再び馬で去った後。
「ハル。ハル!」
地面にへたり込む私を、サリーさんが泣きながら抱きしめた。
心臓がばくばく鳴っている。掴まれた右手がまだ痛む。

「……」

起きているのに、意識がはっきりしない。
周りの声も遠くなる。
自分がした事、された事。全てに現実の手触りがまるで無い。


── 『断れないらしいぞ。求婚されたら』

「どうしたら、いいの……?」


夢なら
早く醒めてほしい。

目を開いたら、イーヴァンの腕の中にいて。

良かった、って安心しながら
彼の隣でもう一度眠りたい。