きみが春なら

翌朝。まだベッドで眠っているイーヴァンを起こさないよう静かに家を出た。

すっきり晴れ渡った青空の下を
ぽやんと覚めきらぬ頭で歩く私。
甘い甘い幸せの余韻から、なかなか抜け出せないままだ。

── 『役所が開いたら手続きに行こう』。
彼はそう約束してくれた。夫婦になれるんだ、と思った。

「しっかりしなくちゃ」
ぱんぱん、と頬を叩き熱を逃がす。
通い慣れた道。職場に向かって足を早める。


「ハル!」

出勤した途端、サリーさんが飛んできた。

「ちょっと。どうするんだい、あんた!」
「どうするって?」
「なっ……昨夜のラジオ、聞いていないの!?」

見た事ないほど慌てた表情だ。

「ロレンツォ王子の妃に、あんたが選ばれたんだよ!」
「…………え?」

事態がすぐに飲み込めなかった。