ただ、私の目の前で黒崎くんが笑っただけなのに......。
私、変だ。
さっきも必要ないことをしゃべってしまったし......。
気を引き閉めないと、大変なことになる。
清掃作業の担当の先生が教室に入ってきて、騒がしかった教室は急に静けさを戻した。
清掃のスケジュールが書かれたA4サイズの用紙が前から回ってきてそれに目を通すと、嫌な視線を感じた。
ちらりと覗き見ると、真衣さんがこちらを睨んでいた。
原因は、多分黒崎くん。
彼女は彼が好きなんだと思う。
だからこの清掃作業にも参加するんだと思うけど......。
気を付けなくちゃ。
「古川さん」
廊下でふいに声をかけられ、ドキリとして振り返った。
真衣さんだ。
教室から出てみんなが解散していく中、私はA4の用紙を握りしめ、ぎこちなく視線を落とす。
「古川さん、なんか黒崎くんと仲良いみたいだね」
「……」
「黒崎くん、転校生とかこの町に慣れてなさそうな人にはすごく優しい人だから」
「そ、そうなんだ」
口の端をひきつらせて何とか笑顔を作った。



