蛍の季節に、キミはまた会いに来る


あれは、幼稚園くらいの時だったかな。

夜の川岸で出会った私と同じくらいの年の女の子に言われたことがある。

私はおじいちゃんと、その子も確かおじいちゃんと来ていたような気がする。

幼い頃の記憶はあやふやだけど、〝ホタル〟という言葉で、暗闇に浮かぶその子の笑顔が脳裏を過った。

短い髪はちょこんとふたつ結びにされていた気がするけど、顔ははっきり思い出せない。

「聖菜ちゃんはホタル見たことある?」

「あ……うん。私もあるよ。一度だけ。子供の頃ね。それがどこだったかは覚えてないけど」

答えるつもりはなかったのに、口から出てきた言葉たちに戸惑って膝の上で手を弄んだ。

わ、私ってば何をこんなにペラペラと。

私がホタルを見たことあるとか、ここにいる人には全く必要ない情報だって......。

興味だってないだろうし。

私が黙り込むと、私の前に座っていた黒崎くんが優しく口角を上げて私を振り返った。

「俺も、思い出のホタルを守りたくてこれに参加したんだ」

心臓が変な動きをした。

予想外。黒崎くんの微笑みに、鼓動の速度が増したような気がする。

気のせい。絶対に気のせい。

「俺だけじゃないよ。この町に住んでる人は多分きっと、ホタルを守りたいと思ってんじゃないかな。ウチのじいちゃんもだし」

ドクンっ!

まただ。