蛍の季節に、キミはまた会いに来る


「えっと...転校生の...」

私を見た彼女は、わざとらしい質問の眼差しを私に向ける。

「古川です」

私は軽く頭を下げ多くは答えない。

彼女はまたわざとらしく笑顔を作り『あ!古川さん!』と顔の横で人差し指を立てた。

「ごめんね。私、人の名前覚えるの苦手で」

苦手も何も、覚える気なんてありませんと顔に書いてある。

「私、原田真衣。よろしくね」

私はまた軽く頭を下げた。

「だけど何で黒崎くんと古川さんが一緒にいたの?」

「そーそー。そこ聞きたいよなぁ、真衣ちゃん」

この男は......。

私の空気を読み取って話を変えるくらい、気はきかないのかね。

まぁ、出会ったばかりの人の心を読むなんて無理だろうけど。

とにかく、私と黒崎くんが会っていたのは別に意味なんて......。

「どうしてとか、別に理由はいらなくね?」

予想外の返答に、私を初め、近くにいた人ほぼ全員が唖然とした。

黒崎くんのその言葉にどんな意味が込められているのか、次の言葉を待っているように見える。

「ただ夜道が危ないと思ったから送ったんだよ」