蛍の季節に、キミはまた会いに来る


「まぁ、何言ってるか俺にはよくわかんねぇけど、無視はできねぇな」

「どうして?」

「人として無視は良くない」

「そんなヤンキーみたいな外見してて無視はできない?無視ばかりしてそうだけど?」

彼がハッと息を吐いて笑って余計ムキになる。

「うわ、出た。外見だけで人を判断するやつ。失礼極まりないなおまえ」

「そんなだらしのない格好してるんだから悪く言われてもしかたないんじゃない?」

「これは個性です」

「はい出た。個性個性言って校則を違反する人」

私の言葉で彼が押し黙った。

私の勝利らしい。

ハッとした。私は何をこんなしょうもないことをこんなに言い合ってるの。

関わりたくないのだから、私から無視すればいいのに。

前方から、車の音が近づいてきた。

私は反射的に後ろを振り返り、できるけ彼に隠れるようにして顔を伏せる。

車のライトに顔を照らされないように、車に合わせて背中の向きを変えていく。

車の音が完全に聞こえなくなった頃、私はまた歩みを始めた。

「ねぇ、だから何をそんなに怒ってるわけ?」

「………」

「理由もわからないままそんな態度取られると正直苛立つんだけど」

そう。そのまま苛立って私と関わりたくないと思ってくれたらそれでいいの。

あなたの感情は間違ってない。私に対してイライラして学校でも無視してくれれば……。