蛍の季節に、キミはまた会いに来る

涙で、黒崎くんの姿が滲む。

——見えなくなるなんて、嫌だ。

何度も頬を拭って、必死にその瞳を見つめた。

逸らさない。

瞬きすら、惜しい。

消えないで。

いなくならないで。

お願い——。

「俺、もう、未練はないよ」

優しい声が、夜に溶けた、そのとき。

蛍の光が、一斉に強く瞬いた。

空気が、すっと澄んでいく。

繋いでいるはずの手が、少しずつ軽くなる。

輪郭が、揺らぐ。

——ああ、もう。

時間なんだ。

どれだけ強く握っても、止められない。

黒崎くんの体が、淡い光に包まれていく。

ほどけるように、ゆっくりと。

「……やだ」

声が、震える。

「いかないで……」

伝えたいのに、うまく言葉にならない。

黒崎くんの頬にも、涙が伝っていた。

それでも——

優しく、笑っている。

「……やだっ」

絞り出すような声。

「いかないでっ……!」