蛍の季節に、キミはまた会いに来る


『あの人、絶対チョコケーキ頼むと思った』

耳打ちしてくる黒崎くんに、「なんで?」と返す。

『顔がチョコ好き』

「なにそれ」

思わず笑ってしまう。

文化祭の終わりのチャイムが鳴ると、教室は拍手でいっぱいになった。

「カフェ大成功!!」
「完売〜っ!!」
「やばい! めっちゃ楽しかった!!」

みんな思い思いに達成感を口にしていた。

私は窓際に行き、夕暮れの空を見上げる。

『成功したな』

いつの間にか横に来ていた黒崎くんもまた、私と同じように空を見上げていた。

「うん。すごく楽しかった」

言葉とともに息を吐き、隣の黒崎くんを見た。

「黒崎くんが願ってくれたおかげ」

黒崎くんは静かに口角を上げる。

「でもどうして、文化祭のことをお願いしたの?」

『古川、去年のあの時から、文化祭の話題避けてただろ?』

黙り込む。

『だから』

黒崎くんは少しだけ優しい顔をした。

『中学最後の文化祭を、楽しい思い出にしてほしかったんだ』

胸が熱くなる。