「なんか、変な感じ」
私が黒板を見つめながら言うと、黒崎くんは『何が?』と笑った。
「私の隣に黒崎くんがいて、こうやって文化祭当日を迎えられてるのがさ」
私の言葉に黒崎くんは一度視線を落として小さく笑う。
「去年できなかったぶん、今年は思いっきり楽しむぞぉぉ!」
『おぉぉ!!』と、右手の拳を上にあげた黒崎くん。
誰にも聞こえていないし、誰にも見えていないのだけど、確かに私の目の前で大はしゃぎしている彼の姿がとても愛おしくて、大好きが止まらない。
「聖菜! 注文いける?」
今日一番忙しそうなのは、やっぱり真衣だ。
文化委員として、絶対成功させてやるって意気込みが感じられた。
みんながスムーズに動けるように、周りをよく見て指示を出していく。
私は手の上がっているテーブルに急ぎ、お客様の注文を受ける。
黒崎くんも、文化祭を一緒に参加するように私の横に立っていた。
「お待たせしました。ご注文どうぞ」
私の作ったメニュー表を見ながら、お客様が指をさす。
「えーと、このチョコケーキとコーヒーをください」
「はい、かしこまりました。少々お待ちください」
注文のメニューを小さな紙に書いて、”厨房係”にそのメモを渡す。
うん、順調だ。



