蛍の季節に、キミはまた会いに来る


4日目

朝、正門に着くと、やっぱり黒崎くんはそこで待っていた。

当たり前のように私を見つけて眩しく笑ってくれる。

他の人には見えていないなんて、まだ、信じられない。

「おはよ」

短く挨拶すると、黒崎くんも『おはよ』と腰をグイッと曲げて私の目線に合わせてくれる。

急に近くなった黒崎くんとの距離に、顔が熱を持ち出す。

「ほんと、黒崎くんが幽霊だなんて、信じられない」

私が言うと、黒崎くんは空を仰いで大笑いした。

『普通の人にみえますか?』

「うん!普通にみえる!」

私が興奮気味に言うと、黒崎くんは校舎の方を顎でさして『早く行こう。遅刻する』と言った。

他の人から見えていないってこと以外、本当に普通だ。

正門前で待ち合わせして、どんな1日が待っているかって心を踊らせる、普通の中学3年生。

受験のために勉強、勉強、勉強で頭を抱えるただの受験生。

そして、将来何になりたいかって真剣に考え始める、15歳だ。