蛍の季節に、キミはまた会いに来る


「ハイハイハイっ!暗い顔してないで、手を動かしますよぉ、手を」

私の意識を目の前の文化祭の準備に戻すように、手を叩きながら真衣が私の机の横に来た。

カフェのメニュー表作成。

B5サイズの画用紙の表面に少し小さくカットした白い紙を貼り付け、その上に飲み物や食べ物を書いていく。

他のクラスメイトたちは、当日教室を彩る飾りを作っていた。

2、3日頑張れば、すぐに終わる作業だ。

「机を4つずつ合わせてテーブルを作るから、えーと、1、2、3……全部で8テーブルだね」

頭で計算した真衣が、8本の指を私に向ける。

「メニュー表も8つだよ」

「はぁ〜い」

私のやる気のない返事に、真衣は口を引きつらせて私の周りをキョロキョロと見回した。

「ちょっと聖菜」

私に耳打ちしてくる。

「黒崎くん、近くにいるんでしょ?どこにいるのよ」

私の耳に口は近づけているけど、気配を探すように目をあちらこちらに動かしていた。

すると、黒崎くんは自分を探している真衣のすぐ目の前まで行って、突然変な顔をし始めた。

「あ」

私が短く声を出すと、黒崎くんが慌ててシーっと鼻に人差し指をあてる。

「あ。ってなによ。いるんでしょ? どこなのよっ!」

ムスッとして言う真衣に向かって、黒崎くんがノートを持っていない方の指で目の下を下げ、ベーッと舌を出した。

次は鼻を豚のように上にあげる。