蛍の季節に、キミはまた会いに来る


「やっぱり……」

「………」

そして、声も廊下にこだまする。

私達3人は、黒崎くんの次の言葉を待った。

「古川が俺に触れている時だけ、こうやって見えるようになるんだ」

「………」

「このノートに書いただろ?また叶ったんだ」

嬉しそうに、手にしていたノートを私たちに見せた。

何のことなのか状況を理解していないふたりに、わかりやすく説明をした。

黒崎くんがどうして甦ったのか。

このノートの力は何なのか。

願いを書けるのは黒崎くんだけで、ずっとかたみ離さず持っていなければならないこと。

そして、ページは7ページしかないこと。

1日1ページ。

全て書き終わったら、黒崎くんは消えてしまうこと。

ずっと一緒にいられるわけではないと知ったふたりは、悲しそうに唇をかんだけど、何か決心したように力強い目を私に向けた。

「確かに消えてしまうのは悲しいことだけど、でも、限られた時間で何ができるかを考えよう」

真衣が、黒崎くんと繋がっている手とは反対の私の手を握って言う。

「そうだよ!もし、俺たちに達也の姿が見えなかったとしても聖菜ちゃんには見えるんだろ?」

私は瀬戸くんの言葉に頷いた。

「だったら、見えないだけで、達也はいつでも俺たちの近くにいるんだから問題なし。できることを探そう」

瀬戸くんはそう言うと、『今、俺、達也に触れられんのかな』と、もう一度抱きしめていた。

瀬戸くんの勢いに、黒崎くんの身体が揺れる。

「達也〜っ」

「何だよ。苦しいって」

ふたりは抱き合いながら笑って泣いている。

「聖菜ちゃん、ずっと達也と手を繋いでてよ」