強く言葉を発し、黒崎くんの手に触れた、その時だった。
今まで信じていなかったふたりの目が私の横を見上げて、ポカンと口を開いた。
徐々にはっきりとしてくる、握った手の感触。
体温。
何も感じない空気を握っていたのに、そこに確かに肉付きを感じた。
私もふたりと同じように目を見開く。
「……うそ」
「……うそだろ」
ふたりの驚きで固まった身体。
私も、呼吸をするだけで精一杯だった。
黒崎くんも、あり得ないという感じで、私と繋がる手を持ち上げて目を丸くして見ている。
「く、黒崎くん……」
真衣の声が震えていた。
「達、也?」
瀬戸くんは慎重に一歩を踏み出し、黒崎くんに手を伸ばす。
肩、二の腕、お腹を触って、そこで瀬戸くんの瞳から涙がこぼれ落ちた。
「達也〜っ!!」
ギュッと瀬戸くんが黒崎くんを抱きしめる。
「……っ!?」
その時、黒崎くんの手が私から離れて、姿がサッと消えてしまった。
抱きついた反動で、瀬戸くんが前に転びそうになる。
黒崎くんは、さっきまで私が握っていた手を閉じたり開いたりして、感触を確認しているようだった。
『古川』
「な、なに?」
黒崎くんの声はふたりには届かないので、答えた私の言葉にふたりが眉間にシワを寄せた。
『もう一度、俺の手を握って』
そう言われて、私はゆっくりと黒崎くんの手を取った。
すると、黒崎くんの姿がまたくっきりと見えるようになった。



