残ったのは俺と迅、そして眠る花音。
「迅、俺が代わる」
「……しかし今動くと……」
迅が優しく花音に触るのが……すごく気に食わない。
「いいから。どけ」
そう言うと迅は頷き、花音の体をそっと俺に預けた。
軽い……驚くほど。
ダンスの時も思ったが、日に日に痩せていってる気がする。
ここでの生活がそれほど苦痛なんじゃないかと思ってしまう。
だから無理するなと忠告したのに。
寝息が小さく聞こえる。
頬に涙の跡があり、少しだけ胸が痛んだ。
「……要様」
迅が低い声で言う。
「実は先程……花音様がアルティウスの者に絡まれました」
「花音さんが……!?」
アルティウス。
表向きは、海外に拠点を持つ巨大投資企業――アルティウス・グローバルホールディングス。
だがその実態は違う。
武器、資金、情報。
裏社会のあらゆる流れを握っていた組織。
そして二年前、獅堂家と衝突し……壊滅したはずの一派だ。
……少なくとも、表向きは。
俺は迅を見た。
「残党か」
迅は静かに頷いた。
「ええ。今回アルティウスは招待しておりません」
「そうだよな……」
「おそらく、潜り込んだものかと」
胸の奥に、冷たいものが落ちる。
俺の知らないところで、花音に会っていたとは。
もし何か起きていたら……



