あれ……おかしいな。
頭がふわふわする。
足元が、急に軽くなった。
そして、次のステップで足がもつれ、体がぐらりと傾いた。
その時、ぐっと腕を引かれる。
気づけば、私は要さんの胸に抱きとめられていた。
会場が一瞬ざわめく。
シャンデリアの光が揺れて見える。
要さんは何も言わず、ただ私の体をしっかり支えたままじっと顔を見下ろしていた。
「……花音さん」
近すぎて、胸がどくんと鳴る。
「す、すみません……」
なんとか体勢を立て直そうとして、一歩踏み出した。
「っ……!」
突然、足に鋭い痛みが走った。
思わず顔をしかめる。
「どうした?」
「だ、大丈夫です……」
そう言ったけれど、足に力が入らない。
体がぐらりと揺れ、要さんの腕がもう一度しっかりと私を支えた。
「……足、くじいたな」
図星で、何も言えない。
会場の視線がこちらに集まっているのがわかる。
恥ずかしくて、胸がぎゅっとなる。
「本当にすみません……」
小さく呟くと、要さんは小さく息をついた。
そして、迷いなく私の体を支えたまま言う。
「動くな」
短い一言だった。



