完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~


幼なじみかぁ……

だから親しい感じがしたんだ。

少し羨ましくなる。


一人になると、急に周りの音が大きく聞こえてきた。

楽しそうな笑い声、グラスの音、音楽。

ぼんやりと視線を動かしたその時だった。

少し離れた場所に、要さんの姿が見えた。

その隣には……志乃さん。

二人で何か話している。

なんとなく気になってしまい、気付いた時には足が動いていた。

自分でも、バカなことしてるってわかる。

フラフラした足取りで側に寄り、柱の陰に身をひそめる。


「本当に決めたの?」

志乃さんの落ち着いた声。

要さんが肩をすくめる。

「まあな」

その口調に、胸がどくんと鳴る。

……あれ?今の、タメ口……?

「あなたらしくないわ」

志乃さんがそう言うと、要さんは少し笑った。

「そうかもな」

胸の奥が、ぎゅっと締めつけられる。

ああいう口調になるのは……

私だけだと思っていたのに。

昔から知ってるなら……当然か。

二人は傍から見ると本当にお似合いで、良い雰囲気だった。

私がいなければ、二人が結ばれていたんだ……

私はいたたまれなくなり、再び会場を出た。

仲良い二人の間に割り込んで……

邪魔者は私だ。

今まで辛いレッスンでも泣かないように頑張っていたのに。

なぜか目の前が涙で滲んでいる。