この二人……オーラが似ているしお似合いだな……。
胸がズキンと痛む。
私は要さんの耳元で声を掛けた。
「要さん、すみません……少しお手洗いに」
「ああ、一人で大丈夫か?」
「はい……」
なぜか要さんの目が見れなかった。
廊下に出ると、少しだけ緊張がほどける。
会場の音が一気に消えて、静かな空間が広がっていた。
「はあ……」
思わず小さく息を吐く。
その時、近くで話し声が聞こえた。
「さっきの子が獅堂家の婚約者?」
「そうらしいわよ」
胸が、少しだけざわつく。
「確かに可愛いけど……」
「ええ。見た目はいいわよね」
足が止まった。
「でも、あの子で大丈夫なのかしら」
「社交界って、顔だけじゃ務まらないでしょ」
くすくすと小さな笑い声が聞こえる。
「朝比奈のお嬢様の方が、ずっとお似合いだと思ってたのに」
胸の奥が、ぎゅっと締めつけられた。
私は何も言えず、その場に立ち尽くす。
聞こえないふりをしようとしても、言葉が耳から離れない。
……顔だけ。
思わず、唇を噛んだ。



