そして、ちらりと要さんを見てから苦笑いする。
「しかし本当は、うちとご縁が結ばれるものだと勝手に思っていたんですがね」
ドキッとした。
うちとご縁……?
会場からくすりと笑いが起きた。
「残念ながら、先を越されてしまったようで」
冗談めいた口調だったけれど、どこか意味深だった。
私は思わず固まって、俯く。
すると要さんのお父様が穏やかに笑った。
「それは光栄なお言葉です」
その間に立っていた志乃さんが、一歩前に出る。
「初めまして、花音さん。お会いできて光栄です」
「初めまして……本日はお越しいただきありがとうございます」
志乃さんは柔らかく微笑んだ。
なんて上品に笑う人なんだろう。
このご両親にこの子ありって感じで……
同い年くらいなのに、気品があって大人っぽい。
視線が私から要さんの方に移る。
「お久しぶりですね、要さん」
志乃さんが落ち着いた声でそう言うと、要さんが軽く頷いた。
「はい。お元気でしたか?」
丁寧な言葉遣いなのに、どこか親しそうな空気。
まるで、昔からよく知っている者同士のよう。



