そのあと、何人もの来賓の方を紹介された。
政界の方、会社の社長さん、俳優さん……。
名前を聞くだけで有名な人ばかりで、頭が追いつかない。
私はただ必死に頭を下げていた。
その時、会場の入口がふっとざわめいた。
「朝比奈(あさひな)家だ」
誰かの声が聞こえる。
振り返ると、要さんのお父様が一組の家族を伴ってこちらへ歩いてきていた。
落ち着いた雰囲気の男性と、上品な女性。
そして、その隣に立つ一人の女性。
すらりとした姿勢。
自信に満ちた立ち居振る舞い。
美しいドレス姿は、まるで映画の中の人みたいだった。
要さんのお父様が穏やかな声で言う。
「花音さん、ご紹介しましょう」
会場の視線も自然と集まる。
「こちらは日本を代表する大手飲料メーカー、朝比奈グループの社長、朝比奈様ご夫妻。そしてご令嬢の志乃さんです」
小さな感嘆の声があがった。
朝比奈社長は柔らかく笑った。
「花音さん、朝比奈です。本日はおめでとうございます」
「あっ……ありがとうございます!」
慌てて頭を下げると、社長の隣にいた奥様も頭を下げた。
なんて上品で、オーラがある夫婦なんだろう。
ぼーっと見とれてると、朝比奈社長は私を見てふっと笑った。



