いよいよだ。
私は深呼吸をし、歩き出した。
これまで礼儀作法も沢山学んできた。
うん、大丈夫。
そう自分に言い聞かせて、私は要さんの隣に並んだ。
そして――
パーティの会場の扉が、ゆっくりと開いた。
その瞬間、ざわめきが広がる。
シャンデリアの光が降り注ぐどこまでも広いホール。
豪華な装飾と、きらびやかなドレス姿の人たち。
「すごい……」
思わず小さく呟く。
聞いてはいたけれど、本当にたくさんの人が集まっていた。
一斉に視線がこちらへ向いた気がして、思わず背筋が伸びた。
「緊張してんの?」
隣で要さんが小さく言う。
「し、してませんっ」
反射的に言い返してしまう。
でもきっと顔に出てる。
要さんは少しだけ笑った。
「顔、硬い」
「だって……」
言い訳しようとして言葉が止まる。
すると要さんが、小さく言った。
「大丈夫だ」
「え?」
「ダンス、最初よりだいぶマシになってるから」
胸がどくんと鳴った。
見てくれてたんだ……
「……ありがとうございます」
小さく答えると、要さんはもう前を向いて歩き出していた。



