鏡の前に立つ自分の姿を見て、私は小さく息を吐いた。
「ついに今日か……」
今日はいよいよ、婚約お披露目パーティの日。
獅堂家の婚約者として、初めて公の場に出る。
財界の方や芸能関係者、それに記者まで来ると聞いている。
そんな人たちの前に立つなんて、考えるだけで緊張してしまう。
しかも今日は、両親も来ている。
九条家として招かれているのだから当然だけれど、それが余計に私を緊張させていた。
恥をかかせるわけにはいかない……
あれから、私は何度かダンスレッスンを受けた。
足を踏んでしまったり、回転でふらついたり……散々だったけれど。
それでも紬ちゃんや先生に励まされて、なんとか形にはなってきた……と思う。
「大丈夫……だよね」
私はぎゅっと手を握る。
その時、後ろから声がした。
「花音様」
振り返ると、紬ちゃんが微笑んでいた。
「お支度、整いました」
改めて鏡を見る。
淡い色のドレス。
胸元は控えめなのに、裾はふんわり広がっている。
髪も綺麗にまとめられていて、普段の自分とは別人みたいだった。
「……似合ってるかな」
思わず呟く。
紬ちゃんは大きく頷いた。
「とてもお綺麗です。自信をお持ちください」



