完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~

「……」

「え?」

「ずいぶん様になってますね」

「本当ですか?」

「ええ」

視線を茶碗に落としながら言う。

「綺麗でした」

思わず顔が熱くなる。

「ありがとうございます……」

「では、お点前頂戴いたします」

要さんは一口飲んで、小さく息を吐いた。

「大変美味しいです」

その一言で胸の奥がぱっと明るくなる。


「……本当に上手なんですね」

「え?」

「茶道」

少し間があってから、ぽつりと続ける。

「見てて飽きませんでした」

そう言われ、一気に顔が熱くなる。

そ、そんな言い方……

絶対ずるい。

要さんはそんな私を見て、ニヤリと笑う。

「顔、赤いですよ」

「そ、そんなことありません!」

少し体を前に乗り出す要さん。

距離が近い……!

「もしかして、照れてるんですか?」

「照れてません!」

慌てて否定すると要さんは小さく笑った。

静かな茶室に、少しだけ笑い声が響く。


「今度は着物で点ててください。きっと素敵でしょうから」

ドキッとした。

これは表向きの言葉なのか、本音なのか……


その時、紬ちゃんが立ち上がった。

「花音様、失礼します。私、所用を思い出しましたので一旦離れますね」

「え!?」

「お二人でごゆっくりお過ごしください」