茶室に入ると、外の喧騒が嘘みたいに静かだった。
「こちらへどうぞ」
紬ちゃんに案内され、私達は奥へ進んだ。
障子から柔らかな光が差し込み、畳の匂いがふわりと広がる。
紬ちゃんは茶室の出入り口付近に、静かに座った。
私と要さんは向かい合って腰を下ろす。
すると、要さんが周囲を見渡し、呟いた。
「……ここに来るのは久しぶりです」
「そうなんですか?こんな素敵な場所なのに……」
「確かに落ち着きますね」
そう言って穏やかな表情を見せる。
最近の要さんは前より少しだけ、本心を見せてくれている気がする。
私は思いっきり深呼吸した。
よし、大丈夫。
柄杓を持ち上げ、湯をすくい、静かに茶碗へ落とす。
茶筅を持つと、自然と背筋が伸びた。
さらさら、と優しい音が茶室に響き、泡がふんわりと立つ。
私はそっと茶碗を回し、要さんの前に差し出した。
「どうぞ」
要さんは少し驚いたように私を見ていた。



