私は思わず身を乗り出した。
「やっぱり!すっごく美味しかったんです!ふわふわで、卵も甘くて!人生で食べたオムレツで一番かも!」
興奮して言うと、相沢さんが固まってしまい、少し顔を逸らした。
「……褒めすぎ」
「本当です!毎日食べたいくらい……どうやって作るのか教えてほしいです!」
相沢さんは咳払いをした。
なんだか少し耳が赤い。
「花音様」
「はい?」
「そういうところだな」
「え?」
「天然って言われるの」
私は首をかしげた。
「そうですか?」
天然?そうなのかな……
相沢さんは小さくため息をついた。
「そりゃ要様も大変だ」
「なんですか!それー!」
失礼な!と思いながら、こうやって本音をぶつけてくれる相沢さんは、ここでは唯一気を許せる存在かもしれない。
初日の態度では想像もつかなかったけど……
玉ねぎを切り終えた頃。
相沢さんがふと思い出したように言った。
「そういえば」
「はい?」
「要様の母親の話、聞いたことあるか?」
私は首を振る。
「小さい頃に亡くなったってことしか……」
相沢さんはキョロキョロと辺りを見渡し、少しだけ声を落とした。
「俺もここに来てまだ二年くらいだから、聞いた話なんだけど……」
「はい……」



