すると相沢さんがぽつりと言った。
「そういえば……」
「はい?」
「この前の要様」
私はびくっとする。
「……あれ、嫉妬かもな」
包丁が止まる。
「え!?」
「ほら、初めて花音様が俺に教わりにきた日……」
「あ……私に呆れてましたよね」
「いや、俺との距離が近くて焼きもちやいたんだろ」
「そ、そうでしょうか……」
心臓がまた変な動きをする。
「あの後、〝馴れ馴れしいな〟って言われちゃって……すみません、私相沢さんに馴れ馴れしい態度を」
相沢さんがプッと吹き出す。
「それ、花音様へじゃなくて、俺に言ってんだよ」
「え?」
「あの方もそういう感情があるんだねぇ……」
そうなのだろうか、てっきり私に対してだと思っていたけど。
ふとその時、卵が目に入り思い出す。
「あっそういえば」
「はい?」
私は相沢さんの目を見る。
「今日の朝のオムレツ、すっごく美味しかったです!」
相沢さんがきょとんとする。
「誰が作ったんですか?」
「……俺」
「えっ!」



