完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~


数日後の放課後。

私は校舎の裏にある弓道場の前にいた。

目的は弓道をする要さんを一目見るため。

本当にただ、それだけのつもりだった。

中から、弦を引く音が聞こえる。

――バンッ

的に矢が当たる音。

木の匂いがする静かな道場は心が落ち着く。

そこに立っていたのは――

要さんだった。

白い弓道着姿で背筋をまっすぐ伸ばし、弓を構えている。

うわぁ……かっこよすぎる。

周りには部員や見学の生徒が何人もいて、ざわざわと声が聞こえてくる。

「……今日の獅堂様も素敵ね」

「本当に絵になりますわ!」

「的はほぼ外さないですし」

女の子たちが小声で騒いでいる。

要さんはそれに気付いていないのか、静かに弓を引く。

ゆっくりと息を整え……

パッ

矢が放たれる。

――ドンッ

真ん中に当たると、周りから小さな歓声が上がった。

「すご……」

思わず呟く。

弓を引く姿が、びっくりするくらい綺麗で。

なんだか胸がドキドキしてくる。

その時、近くにいた女子たちの会話が聞こえた。

「獅堂様って恋人はいるのかしら」

「いないと思いますわ、誰かと一緒にいるところ見たことありませんもの」

「それはチャンスですわね」