完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~

流れている音楽に合わせて手を取られ、ぐっと距離が近づく。

「重心が高い」

「は、はい」

「昨日も言ったよな?」

少し厳しい声に思わず俯く。

「すみません……」

すると要さんは小さく息を吐いた。

「……違う」

「え?」

「謝んなくていい」

少しだけ視線が逸れる。

「昨日、風呂で気を失うほど無理をしてただろ」

胸がドキッとして、一気に顔が熱くなる。

「あ……その節はご迷惑を……」

「限界までやるなよ」

「……はい。でも私全然だめだから……頑張りたいんです」

小さく言うと、要さんは少し黙った。

それからぽつりと呟く。

「……無理すんな」

その声は、さっきより少し柔らかかった。

要さんに優しい言葉をかけてもらったのなんて初めてで、ぐっとくる。

その後も要さんによるレッスンが続き、気付くと外は暗くなっていた。


「だいぶ良くなってると思う」

「本当ですか!?」

「ああ。さて俺も着替えるか」

「制服のまま……すみません」

「別に。俺がしたことだ」


帰宅後、そのまま私の様子を見に来てくれたんだろうか。

着替えもしないで……。