完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~

その時。

「……余計なことを言うな」


低い声がしたので振り返ると、入り口に立っていたのは制服姿の要さんだった。

「あっ要さん、おかえりなさい!」

要さんが静かな目でこちらを見ている。

迅さんは少し楽しそうに笑った。

「今ダンスの練習をしていました」

「見ればわかる」

要さんが近づいてきて、私の手を取った。

「代われ」

「え?」

「俺が相手になる」


突然のことに戸惑っていると、迅さんはくすっと笑った。


「要様、昨日から様子がおかしいですね」

要さんの眉がぴくりと動く。

「花音様のことになると、特に」

「……迅」

「失礼しました。では私は所用がありますのでこれで」

迅さんが一歩下がる。

でも去る前に、わざとらしく言った。

「花音様、頑張ってくださいね」

「ありがとうございます!」


残されたのは、私と要さん。

「……部活も忙しいのにレッスン付き合っていただいてすみません」

「別にいい。早くやるぞ」