「迅さんって……私のお兄様みたいですね」
私が笑うと、迅さんが少し驚き、微笑んだ。
「花音様は面白いお方ですね……」
「髪を下ろしてるのも新鮮です」
「あ……気になる様でしたら結びますが」
「いえ!とても綺麗なので気になりません!素敵です!」
すると、迅さんが口を押える。
「……そういうことはあまり仰らない方が良いかと」
「え……?」
「いえ、では始めましょう」
音楽を流して、ゆっくりステップを踏む。
「そうです、そのまま」
その時、急に昨日のことを思い出して、顔が青ざめた。
「あのっ……昨日のお風呂のことなんですけど」
迅さんが立ち止まり、眉が少し動く。
「覚えていましたか」
「途中まで迅さんが運んでくれたって聞きました」
「ええ」
少し困ったように笑う。
「ですが、途中で要様に代わりました」
「やっぱり……」
顔が少し熱くなる。
「ご迷惑かけちゃいましたよね」
「いいえ」
迅さんは優しく言った。
「むしろ要様の慌てようが珍しくて」
「え?」



