完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~

なのに、大我さんは少しだけ笑った。

「……やっぱ……強いな、お前は……」

「……え……?」

掠れた声だけど、その目はどこか安心したみたいに優しくて。

「……っ、大我さん、喋っちゃダメです……!」

心臓がバクバクして、手が震える。

しかし大我さんは、ゆっくり目を閉じた。

「大我さん……?」

返事がない。

「……大我さん!!」

騒然としていた会場には、すでに警察が入っていた。

怒号や無線の音、慌ただしく行き交う人たち。

それと同時に、救急隊員たちが慌ただしく動き、大我さんの容体を確認している。

私はただそれを見つめるしかなくて。

これ……現実なの?

視界がぼやける中、大我さんが担架で外へ運ばれていく。

サイレンが鳴り響き、赤い光が夜を切り裂いた。


アルティウスの人間たちは次々と拘束され、宗一郎さんも抵抗することなく連れて行かれていく。

その姿はまるで抜け殻のようだった。

私はその一連を見ても、まだ現実感が持てずにいた。

「……」

大量の血に、苦しそうな呼吸。

そして最後に伸ばされた手。

大我さんのことが頭から離れない。

その時だった。

「大丈夫か……?」

低い声と同時に、肩を抱き寄せられる。