完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~


「……は……」

呼吸が止まる。



「……大我、さん……?」



そこにいたのは、大我さんだった。

脇腹を深く刺され、血を流しながら立っていた。

「っ……」

その場にいた全員が、息を呑む。

宗一郎さんの顔色が変わった。

「……大我?」

信じられないものを見るように、目を見開く。

「お、おい……何してる……!」

大我さんは苦しそうに息を吐いた。

それでも、父親を見る。

「……もう……終わりにしてくれよ……」

「……っ」

「今の親父見てるの……しんどい……」

その声は、震えていた。

怒っているわけじゃない。

悲しそうで。

苦しそうで。

聞いているだけで胸が締めつけられる。

「大我!!」

宗一郎さんが叫ぶ。

大我さんの体が、ぐらりと傾いた。

「っ……!」

そのまま床へ倒れ込む。

「救急車だ!!早く呼べ!!」

取り乱した宗一郎さんの声が、会場中に響いた。

さっきまでの威圧感なんて、どこにもない。

ただ、自分の息子を失いそうになっている父親だった。

「大我さん!!」

私は駆け寄った。

要さんもすぐ隣へ膝をつく。

「おいっ!」

大我さんは浅く息を繰り返していた。

苦しそうで、顔色もどんどん悪くなっていく。

「しっかりしてください……!」

震える声で呼びかけると、

大我さんが、ゆっくりこちらへ手を伸ばした。

「……っ」

私はその手を、両手で掴む。

冷たい。