完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~

迅も同じ考えだったのか、すぐに頷く。

「分かりました。手分けして……」

「いや、別れるな」

即座に否定する。

「この状況で単独は危険だ」

迅が一瞬だけ目を細めた。

「……了解です」

二年前の時も、単独で動いたせいで迅が負傷した。

同じ過ちは繰り返したくない。

その時だった。

再び、外から大きな物音が響く。

ガラスが割れるような音や怒号だった。

「……来ましたね」

迅が低く告げる。

「アルティウスの者が侵入したようです」

「……だろうな」

舌打ちが漏れる。

その瞬間。

「……っ」

手が、わずかに震えた。

無意識だった。

握り締めた拳が、思うように力を込められない。

――なんだよ、これ。

奥歯を噛み締める。

二年前の、あの夜。

抗争のど真ん中にいた時でさえ、ここまでじゃなかった。

血も、銃声も、当たり前みたいに受け入れていたはずなのに。

それなのに……

「……花音」

あいつの顔が、浮かぶ。

何も知らない顔で、笑っていた。

それが、頭から離れない。

もし、あいつに何かあったら。