完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~


その言葉に、胸が少しだけ痛くなる。

それでも……私には大我さんからの告白を受け入れることはできない……。

志乃さんは、ゆっくりとカップに手を伸ばした。

けれど、ふとその手を止める。

「……要はね」

ぽつりと、静かに言った。

「お母様が亡くなった時も、ずっと凛としていたの」

「亡くなった時もですか……?」

「ええ、本当は誰よりも悲しいはずなのに……それを見せなくて」

視線が、どこか遠くへ向く。

「だから……逆に、見ている方が辛くなったわ」

その言葉に、この前ベッドで見せた要さんの姿が重なる。

「でも……そんなところに、惹かれたのかもしれない」

「……」

「こんなこと、花音さんに言うべきじゃないとわかっているけど……」

小さく息を吐いて、私を見る。

「そして、あの時」

一瞬だけ、視線が揺れた。

「毒を飲んで倒れた時……真っ先に駆けつけてくれたのが、要だった」

ドキンと胸が鳴り、あの日の光景が頭に浮かぶ。

「その瞬間、思ってしまったの」

少しだけ、自嘲するように笑う。

「やっぱり、私は要が好きなんだって」

「……っ」

胸が、ぎゅっと締めつけられる。