完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~

「どうか……一括りにしないで頂けたらと……」

最後まで言い切ると、しん、と静まり返った。

重たい沈黙が漂い、視線が痛いほどに集まる。

……やってしまった。

そう思った瞬間だった。

隣に立つ要さんが、私の手をぎゅっと握った。

まるで〝大丈夫だ〟と言われているようで、胸が熱くなった。


「……失礼しました」

要さんがそう言い、一歩前に出る。

「婚約者が、少々差し出がましいことを」

穏やかな笑みを浮かべながら、自然に場を収める。

「ですが、彼女の言う通りでもあります。一概に決めるべきではない」

その一言に、空気がわずかに緩む。

「個々で見るべきだという意見には、私も同意します」

落ち着いた声で言い切ると、周囲もようやく頷き始めた。

「……そうですね」

「確かに、一概には言えませんな」

流れが、戻っていく。

私は、ようやく息を吐いた。

「……花音」

小さく名前を呼ばれる。

隣を見ると、要さんがこちらを見ていた。

その目は、少しだけ困ったようで。

でも、どこか分かっているような表情で。

「……すみません」

小さく謝ると、

「バカだな……」

低く、それだけ言われた。

「……はい」

胸の奥が、少しだけ締めつけられる。

でも、後悔はしていなかった。

だって、あのまま黙っていることなんてできなかったから。