「もう逃げられないだろうな。あいつらも終わりだ」
淡々とした声。
けれど、その奥には冷たい決意があった。
「……そう、なんですね」
小さく頷きながらも……頭に浮かぶのは、大我さんの顔だった。
今回の件……大我さんは関係ない。
でもその息子というだけで、巻き込まれてしまうかもしれない。
「……花音?」
「えっ、あ、いえ……」
慌てて首を振る。
「大丈夫です」
要さんは少しだけこちらを見たが、それ以上は何も言わなかった。
ただ、要さんの手がそっと私の背に触れる。
「行くぞ」
その一言に導かれるように、私は再び歩き出した。
胸のざわめきを、押し込めるようにしながら。
*
*
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しばらくして、会場内の一角。
朝比奈家の当主である、志乃さんのお父様が来賓に囲まれて話をしているのが見えた。
要さんと共に近づくと、自然と会話が耳に入る。
「今回の件は、本当にご迷惑をおかけしました」
落ち着いた、重みのある声。
「ですが、犯人の目星もつき、ひとまずは安心しております」
周囲が、同調するように頷く。
「アルティウスが関わっていたとは……」
誰かがそう言った。
「……ええ」
朝比奈様は静かに息を吐く。
「昔は、家族ぐるみで付き合いもあったのですがね」



