完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~


「もう逃げられないだろうな。あいつらも終わりだ」

淡々とした声。

けれど、その奥には冷たい決意があった。

「……そう、なんですね」

小さく頷きながらも……頭に浮かぶのは、大我さんの顔だった。

今回の件……大我さんは関係ない。

でもその息子というだけで、巻き込まれてしまうかもしれない。

「……花音?」

「えっ、あ、いえ……」

慌てて首を振る。

「大丈夫です」

要さんは少しだけこちらを見たが、それ以上は何も言わなかった。

ただ、要さんの手がそっと私の背に触れる。

「行くぞ」

その一言に導かれるように、私は再び歩き出した。

胸のざわめきを、押し込めるようにしながら。





しばらくして、会場内の一角。

朝比奈家の当主である、志乃さんのお父様が来賓に囲まれて話をしているのが見えた。

要さんと共に近づくと、自然と会話が耳に入る。

「今回の件は、本当にご迷惑をおかけしました」

落ち着いた、重みのある声。

「ですが、犯人の目星もつき、ひとまずは安心しております」

周囲が、同調するように頷く。

「アルティウスが関わっていたとは……」

誰かがそう言った。

「……ええ」

朝比奈様は静かに息を吐く。

「昔は、家族ぐるみで付き合いもあったのですがね」