完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~



――数日後。


朝比奈グループの創立記念パーティ当日。

大きな門をくぐった瞬間、別世界のような光景が広がっていた。

広い庭園には柔らかな光が灯され、奥に見える洋館はまるで映画の中の舞台のようで。

「……すごい……」

思わず、小さく呟いてしまう。

隣に立つ要さんは、そんな私を一瞬だけ見てから、静かに口を開いた。

「このくらいで驚いてんのか?」

「え?」

「中に入ったらもっとビビりそうだな」

そう言って笑い、軽くエスコートされる。

その自然な仕草に、胸が少しだけ高鳴った。

会場へと足を踏み入れると、シャンデリアの光が眩しいくらいに広がっていた。

着飾った来賓たちが行き交い、上品な会話が交わされる。

グラスの触れ合う音が、静かに響いていた。

要さんが予想した通り、少しビビってしまっている。

……やっぱり、まだ慣れないな。

「花音」

その時、低い声で呼ばれる。

「は、はい」

視線を向けると、要さんが少しだけ真剣な表情をしていた。

「一つ、先に伝えておく」

「……?」

「この前の件だが……警察が動き始めた。アルティウスの関与が、ほぼ確定した」

「……っ」

思わず、息を呑む。

わかっていたことだし、これでよかったはずなのに……