結局、高野さんは手伝いながら、私は箱を開けて整理することになった。
しばらく無言で作業をしていたけれど、なんだか気まずくて、私は思い切って話しかけた。
「あの、高野さん」
「はい」
「おいくつなんですか?」
手がぴたりと止まった。
高野さんはゆっくりこちらを見る。
「……そのようなことをお聞きになる方は、あまりいらっしゃいません」
「え?」
「使用人のことを知りたいとおっしゃる方は、ほとんどおられませんので」
少しだけ棘のある言い方だった。
私は一瞬きょとんとしてしまう。
「そうなんですか?」
「ええ」
でも私はすぐに笑った。
「でも、一緒に暮らすなら知りたいじゃないですか」
高野さんは何も言わない。
「好きなものとか、趣味とか」
「……趣味、でございますか」
少し考えるように目を細める。
「そのようなことを聞かれたのは初めてです」
「ほんとですか?」
「はい」
そして、ふっと小さく息を吐いた。
「ですが、花音様がそこまで気にされる必要はございません」
「え?」
「私どもは使用人ですので」



