完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~


それから半月後。

私は本格的に獅堂家へ引っ越してきた。

大きな門をくぐると、前に訪れた時と同じ広い庭が目に入る。

何度見ても、ため息が出るほど立派なお屋敷だ。


「お荷物はこちらでお運びいたします」


使用人の方がそう言ってくれたけれど、私は慌てて首を振った。


「いえ、大丈夫です!自分のことは自分でやりたいので」


そう言うと、使用人の方は少し驚いたように目を瞬かせた。


「そうでございますか……」


私の部屋へ案内してくれたのは、あの日も会った高野さんだった。

相変わらず背筋がぴんと伸びていて、隙のない雰囲気の方だ。

部屋に入ると、すでに荷物がいくつか運ばれていた。


「では、こちらがお部屋になります」

「ありがとうございます!」


私は嬉しくなって、ぐるっと部屋を見回した。

相変わらず広くて、慣れるまで落ち着かないけど……

ここで生活するんだ。


「荷解きは私がいたしますので」


高野さんが淡々と言う。

でも私は慌てて手を振った。


「いえいえ!私もやります!」

「ですが……」

「自分の物ですし、どこに何があるか分かった方がいいですから」


そう言うと、高野さんは少しだけ眉を動かした。


「……そうでございますか」