完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~

そして――

「おめでとう」

いつも通りの笑顔でそう言ってくれたけど、ほんの一瞬だけ。

「……ちょっと残念だな」

小さく、そう呟いた。

「え……?」

思わず聞き返すと、すぐにいつもの調子に戻る。

「いや、こっちの話!」

軽く笑ってごまかされる。

「花音様が幸せそうで、何より」

「……ありがとうございます」

胸の奥が、少しだけくすぐったい。

「あの要様がねぇ……ちゃんと言葉にしたわけだ」

「はい……」

「で、要様は花音様のどこを好きになったって?」

「……え?」

思考が、一瞬止まる。

「どこ、って……」

言葉に詰まる。

……言われてない?

そういえば――

「……っ」

一気に顔が熱くなる。

好き、とは言われた。

でも、“どこが”なんて……

「……あれ?」

小さく呟いてしまう。

「どうした?」

「い、いえ……その……聞いてなくて……」

笑って誤魔化したけど……

でも、頭の中はぐるぐるしていた。

……聞いてない。

私の、どこを……?

考え出すと、急に不安になってくる。

その時――

「失礼いたします」

聞き慣れた声が、後ろから聞こえた。