完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~

「自分の婚約者が他の男と話すんだから、そばにいて当然だろ?」

要さんが一歩前に出る。

淡々としているのに、圧がある。

二人が真正面から向き合った。

「……早乙女」

「なんだよ」

二人とも、鋭い視線がぶつかる。

「お前の親がやってきたこと、許す気はない」

空気が、ぴんと張り詰める。

「……分かってる」

大我さんは、視線を逸らさずに答えた。

「それは謝るし、どうにか自白させるつもり」

静かに、はっきりと。

「……でもな、それとこれとは別だろ」

言い切る声に、迷いはない。

大我さんがまっすぐに要さんを見つめる。

「だから……俺は諦めねぇ」

その言葉が、静かに落ちた。

「……っ」

思わず息を呑む。

要さんが一歩、前に踏み込む。

「負ける気もない。取れるもんなら、取ってみろよ」

それは、はっきりとした宣戦布告だった。

一瞬の静寂。

重たい空気が、その場を満たす。

そして――

「……上等」

大我さんが、低く笑った。

その目は、全く笑っていない。

「後悔すんなよ」

そして短く、鋭く言い切る。

二人の間に流れる空気が、完全に変わった。

さっきまでとは違う。

引き返せない何かが、確かに始まってしまった。

私は、その間に立ちながら――

ただ、息をすることしかできなかった。