完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~

「ちゃんと考えて答え出してるとこ、好きだわ」

「え……」

一歩、さらに近づく。

その距離に、少しだけ息が詰まる。

大我さんの手が、ゆっくりと伸びてきた。

触れられそうになった、その時。

「……っ」

反射的に、一歩後ろへ下がる。

指先が、ほんの少しだけ空を切った。

「すみません、要さんと……約束したので」

その言葉に、大我さんが驚いた顔をした。

「……あー」

軽く息を吐いて、頭をかく。

「ちゃんとしてんな」

その言い方は、どこか苦笑混じりだった。

その時。

「おい」

低い声が、背後から落ちた。

「……っ」

心臓が跳ねる。

振り返ると……そこに、要さんが立っていた。

「要さん……!?」

いつから、いたのか。

教室で待ってるんじゃなかったの!?

その表情は穏やかなはずなのに、どこか冷たい。

「今、花音に触ろうとしてただろ」

でも、確実に機嫌はよくない。

「……見てたんですか?」

「途中からな」

短く返される。

そのまま視線が、大我さんへと向いた。

「……趣味悪ぃな。盗み聞きかよ」

大我さんが、低く吐き捨てる。