完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~

その瞬間、大我さんの目がほんのわずかに揺れた。

けれどすぐに、元の表情に戻る。

「でも……」

胸の奥がぎゅっと締まる。

それでも、目を逸らさない。

「私は……要さんのことが、好きです」

言い切った瞬間、空気が静かに止まった気がした。

階段の踊り場に、音がなくなる。

「……そっか」

しばらくして、大我さんが小さく息を吐いた。

どこか納得したような、でも諦めていない声音。

「……はい」

胸が少し痛むけど、逃げるわけにはいかない。

「ま、そうだろうな」

いつも通り軽そうに言っているけど、どこか力が入っているようにも見えた。

「でもさ」

ゆっくりと壁から体を離す。

一歩、距離が縮まる。

「それで終わりにする気、ねぇけど」

「……え?」

「まだ俺のこと、何も知らねぇだろ?」

まっすぐな視線が向けられ、言葉に詰まる。

確かに……知らないことの方が多い。

「それに」

少しだけ口元を歪めて、

「あいつ、独占欲強すぎ」

「え……」

「今はいいけど、そのうち面倒になるぞ」

私は小さく首を振った。

「それでも……好きなんです」

自分でも驚くくらい、迷いのない声だった。

「……はは」

小さく笑われる。

「ほんと、そういうとこ」

視線が柔らかくなる。