完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~

「では、その時を楽しみにしています」

静かな声。

さっきまでの距離の近さが嘘みたいに、また落ち着いた空気に戻っている。

要さんはゆっくり立ち上がった。


「今日はもう遅いですし、きっとお疲れでしょう」

「いえ、そんな……」

「引越しの日に、また伺います」


そう言って、軽く会釈をする。

やっぱりどこまでも丁寧で、完璧で。


「それでは、ご両親の所へ戻りましょう」


部屋のドアを開け、私を先に通してくれた。


少し寂しさはあるけど、この方なら優しいしきっと頑張れる。

政略結婚でも……

私はこの家でちゃんとやっていきたい。


そう信じて密かに気合を入れたのだった。